身近な発見

地域コミュニティ施設に訪れる機会があり、私はその施設の利用者の年齢層に着目した。

そしてそこで日本社会の現状を実体として捉えることができた。日々、マスメディアの報道で耳にする高齢化社会問題。我が国もすでに1994年に高齢化社会となり、さらには2007年に人口の21%が高齢者である超高齢社会に突入したのだ。それが意味することー。つまり、我が国は高齢者のポピュリズムに支配されていると言えるかもしれない。

 

ミルの「多数の暴政」はまさに、現代日本においては選挙によって形而上的に表面化している。高齢者という多数者が選挙によって合法的支配を行い、むろん政府は多数者に対して有効的であるマニフェストを掲げる。このwin-winの関係が築かれた現状は変わることはないだろう。むしろ、それはさらに加速していくだろう。

 

近代国家は絶対王政を非合法的支配と称し、民衆のデモクラシーによって国家からの自由を国民は獲得し現代に至っている。そしてそれは20世紀以降は福祉国家思想に変貌を遂げ、国家が国民(ここでの国民は日本に限らない)に対して社会権という形で支援することが広まった。

つまり、言い換えると、我々の生きる現代は国民が国家を支配するという新たな時代になったと言えるだろう。その象徴がまさに高齢者という生きた形なのである。